意外に知られていないことですが、野菜の美味しさは
「鮮度・旬・栽培・品種」
で決まります。
この4点は生産者側に起因する要素、つまり野菜を育てる人が関われる部分です。
- 鮮度
ほとんどの野菜は収穫直後がもっとも美味しいです。
あいだに業者を通さないで農家から直接家庭へお届けするということが、結果として新鮮さを高めることになります。
野菜の美味しさを際立たせる一番大事な要素です。
鮮度の秘密 野菜を長く保存するための原理原則
鮮度の秘密 野菜を良く知ることは長期保存につながる - 旬
季節にあわせて無理なく育てることで、健康かつ栄養価の高い野菜に育ちます。
夏に育てられたホウレンソウは美味しくありませんし、冬のトマトも同様です。
季節を外して無理やり育てた野菜は、食べても体が喜ばないことが多いです。
旬の野菜を食べなさい!の本当の理由
旬の野菜を食べなさい!を陰陽から考える
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食べる旬と育てる旬は違う 野菜が美味しくなる季節は冬 - 栽培
無農薬かどうかも含めて、野菜が健康に育つことを最重要課題とした栽培方法は味に影響します。
たんに無農薬だから美味しいというよりも、農薬に頼らない栽培をすることで、病気や虫害を発生さないためにどうしたらいいか野菜をよく観察することにつながり、結果的に美味しさに結びつくのだと考えています。
無農薬栽培の本質は野菜と正面から向かい合う姿勢
自然栽培に学ぶ 野菜の味を決めるのは肥料の質ではなく量
化学肥料を使うと野菜はまずくなるのか
虫食いの野菜は美味しい・・・は真っ赤なウソ - 品種
病気に強くて形が揃うなど生産者の都合ではなく、輸送の衝撃に耐えられて見栄えが良いなど流通・小売の都合でもなく、美味しさを第一に求めた品種があります。
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品種改良は誰のためのものか
タネの安全性 固定種と交配種
タネの安全性 雄性不稔(ゆうせいふねん)とはなにか
上記4点を追求できるのは小回りのきく小さな農家だからこそ。
無農薬だから安全、だけではなく色々なこだわりをもって実践しているから美味しい、と感じてもらえたらうれしいですね。
このほかに、野菜の美味しさが消費者側に、つまりあなたに起因する要素が3つあります。
「環境・味覚・思い込み」
この3点は消費者側に起因する要素、野菜を食べる人が関われる部分です。
- 環境
同じ料理でも食べる空間・演出によって感じる味が変わってきます。
暑い夏にキャンプ場でバーベキューをして食べる野菜はたいへん美味しいです。
スーツやドレスを着て行くような高級レストランで召し上がる野菜は、シンプルな調理でもたいへん美味しく感じられます。 - 味覚
レストランのシェフや小さな子どもは味覚が鋭いですね。
うちの子どもの話になってしまいますが、収穫がはじまったばかりの瑞々しい野菜はおかわりを要求するほどよく食べます。
ところが収穫適期を過ぎてしまった(けれども食べるには問題ない)野菜は、美味しくないといって食べてくれないことがあります。
そういう子どもの舌も満足させられるような野菜をお届けしたいと日々試行錯誤しています。
子どもの野菜嫌いを治すのではなく好きを大きくする - 思い込み
有機野菜だから美味しい、という思い込みは意外に重要な要素です。
精神状態が体に与える影響はけっして小さくはないので、有機野菜を食べているんだという気持ちが美味しさを増幅させてくれるなら、こんなに幸せなことはありません。
レストランで「美味しさへの3つのこだわり!」とか書いてある文章を読むと、なんだか3割増しくらいで美味しくなってくる気がしませんか?
有機野菜を美味しくいただくコツは 思い込むこと
このように味を決定する要素というのは様々あって、これらが絡み合うことで評価が決まります。
7つの要素を足していくことで総合的な美味しさが決まります。
栽培にこだわっているんだけど、収穫から食卓へ並ぶまでに1週間かかってしまう。
寒い冬に暖房がきいていない凍える部屋で、体を冷やす効果があるキュウリを食べる。
本当に美味しい野菜に出会うためには、7つの要素のどれが欠けてもいけません。
総合的に見て、すべての要素に高い点数をつけられるのが無農薬栽培で野菜セットを発送している小さな規模の農家なんです。
そして。
味という主観的なものは他人よって評価されて初めて活かされます。
松本さんとこの野菜おいしいね、というお褒めの言葉は何者にも変えがたい賛辞であり、その評価が集まることで客観的な評価になっていきます。
生産者として多くの人に美味しいと言ってもらえるようにがんばらないといけません。