カウンター越しの寿司職人と顔が見える有機農家の共通点
回らない寿司、食べたことがありますか?
チェーン展開しているような回転寿司ではなく、のれんをくぐるとカウンターがあるだけのこんじまりとした寿司屋で出される寿司のことです。
メニューがあっても値段が書かれていなかったり、時価とかおまかせとか、財布の中身を気にすると入れないようなお店もあります。
そんなお店に意を決して飛び込んでみると・・・。
何十年も修行をしてきた寿司職人がカウンター越しに目の前で握ってくれます。
シャリのうえにネタがのっている、という条件を満たした見た目だけ寿司っぽい回転系のものとは違います。
手でつかんで口に運ぶと、口の中でシャリがふわっと広がって口の中全体に酢の香りが漂います。
米とネタとが口の中でうまい具合に混ざり合いながら、わさびがアクセントになって鼻からすーっと抜けていきます。
職人さんが握るときに、最低限の手数で、シャリに空気をうまく入れて食べたときに口のなかでパラッとほどけるように手を加えています。
食べる人が手で食べるのか箸で食べるのかによって握る硬さを変えたりする職人もいるそうです。
そして、当然ですがネタも違います。
同じ魚をつかっても、包丁の入れかたひとつで味は変わってきますし、魚を仕入れるときの目利きができるかどうかも職人の技のひとつだと言えます。
よい魚を仕入れることができて、その魚のよさを活かしたうえで寿司として提供ができる、ということですね。
こういったことをいろいろと考慮していくと、やはり回らない寿司には相応の価値がありますし、相応の値段がついた寿司が提供されるわけです。
野菜についても同じことがいえます
野菜業界において、この回らない寿司のポジションにいるのが有機栽培農家です。
それぞれの農家が、それぞれのこだわりと職人としての腕をもち、野菜が健康に育つために最善の手を尽くす。
収穫できるようになった野菜の中から、いま採るのがもっとも美味しいタイミングだと思われるものを収穫していきます。
美味しい野菜を美味しい状態のままお届けするために、家庭に向けて直接配送しています。
野菜セットをつくっている農家に関しては、詰め合わせる種類は農家のおまかせだし、価格は決まっているけど内容量は決まっていません。
時価でおまかせ、みたいなもんです。
有機野菜の農家から野菜つめあわせセットを購入するというのは、下駄の上に寿司がのって出てくるような回らない寿司屋に入るようなものです。
贅沢だといえば、贅沢かもしれませんね。
その価値がわかるかどうか
モノの価値という点でいえば、回転寿司で食べてみた時と職人の店で食べてみた時とであまり違いがわからないとか、違いはなんとなくわかる気がするけどどっちも美味しいとか、わざわざ高いものを食べる必要がないような人は回転寿司でじゅうぶん満足できるのではないでしょうか。
同じように、スーパーで買った野菜と農家から直接買ってみた有機野菜とを、食べ比べてみたけどあんまり違いが感じられないということであれば、その人にとっては安いほうを選んだほうが賢い選択だととらえることができます。
結局のところどちらを選ぶのかは、食べる人がどちらで満足できるかということに尽きます。
周りの人が美味しいと言っているからとか、なんとなく体にいいような気がするとか、そういうことで選ぶのではなくて、あなた自身が美味しいと感じるほうを選べばいいし、あなた自身が納得して満足できるほうを選べばいいと思います。