無農薬野菜という表記は違反? 特別栽培農産物とは

子どもに安心して食べさせられる野菜がほしい
と有機野菜を求める方はたくさんいらっしゃいます。
そして。
インターネットを使って買おうと思って、yahooやgoogleで検索をしてみます。
「有機野菜 通販」
「有機野菜 販売」
「有機野菜 愛知」
などと検索キーワードを定めて検索をしたとして。
その結果、多くの販売サイトや農家サイトが見つかります。
その中からタイトルと説明分を見て気になるなぁというサイトがあれば、クリックorタップしてサイトを見てみます。
そこで目にするのは、
有機野菜
無農薬野菜

などの謳い文句。

えっ?
有機野菜と無農薬野菜ってなにが違うの?

と戸惑われた方も少なくないはず。
その答えについては別の記事で簡単に解説していますのでそちらをご覧ください。

有機野菜と無農薬野菜の違い

今回は、無農薬野菜という表現に注目しながら特別栽培農産物という聞きなれない言葉について説明していきます。
そこには消費者と生産者との大きな溝がありますので、ぜひ最後までご覧いただいて溝をすこしでも埋めていただければと思います。

 

慣行栽培と有機栽培と特別栽培という3つの分類

農家のホームページ、業者のホームページなどを見ていると
無農薬野菜とか無農薬栽培
といった文言が目につきます。
有機野菜ではなく無農薬野菜。

なぜ無農薬野菜と言っているのかについては話が非常にややこしくなってしまうんですが、法律や表示ガイドラインの知識が必要になってくるので、ごくごく簡単に解説していきます。

法律や表示ガイドラインに従うなら、日本の農産物は

1.慣行栽培農産物  農薬や化学肥料を使った一般的な栽培
2.有機栽培農産物  農薬や化学肥料を使わない栽培
3.特別栽培農産物  どちらにも属さない栽培

この3種類に分けられます。

特別栽培農産物

1はいわゆるスーパーで買えるような一般的な農産物、2はスーパーでたまに見かける有機JASシールが貼られた有機農産物です。
このふたつははっきりとしているので分かりやすいですよね。
でも3が非常にあいまいで分かりにくい。

農薬使用を抑えて育てられている。
無農薬だけど化学肥料を使っている。
有機JASの基準は満たしているけどJAS認定してもらってない。

そんな農産物を指します。
要するに。
こだわって栽培された農産物なんだけど、有機農産物と名乗ることができない。
ということです。
このような農産物はすべて特別栽培農産物として表記しなければならない、と国がガイドラインで定めています。

かんたんに言えば。
有機農産物は有機JAS法で、特別栽培農産物はガイドラインで、それぞれ基準を定めているわけです。

つまり。
日本において農産物につけられる表記というのは

なにも書かれていない普通の農産物
有機農産物
特別栽培農産物

この3つしかないんです。

 

消費者と販売者との表現ミスマッチが問題

とはいえ世間には様々な表記があふれていますよね。

無農薬野菜です。
無農薬・無化学肥料で育てました。
農薬は一回だけ使用してます。
減農薬栽培です。

消費者が混乱するだろ!と言わんばかりにたくさんの表記が見られます。
でも。
じつはこれらの表記は使っちゃだめ、ということになっているんです。
上記で挙げたようなこだわりの栽培は、すべて特別栽培農産物に含まれるのでそのように表記するのが正しいんです。

特別栽培表記例

 

じゃあなんで。
農家や販売者は、ガイドラインに背いてまで無農薬野菜などと表記するのでしょうか。
特別栽培の野菜です、ではダメなんでしょうか。
その答えはけっこう簡単。
特別栽培という言葉が、世間的にほとんど認知されていないことが最大の理由です。

もし仮に。
私が特別栽培農産物という表記で自分の野菜を売ろうとしたらどうなるでしょうか。
野菜を買いたいと思っている人のなかに特別栽培という言葉を知っている人がほとんどいませんから、特別栽培農産物という表記はなんの意味もありません。
あーなんか書いてある、くらいの認識です。
せっかく無農薬でがんばって野菜を育てたのに、それが認めてもらえない。
せっかく無農薬の野菜が目の前にあるのに、表記されていないせいで見つけることができない。
こんなミスマッチが起こります。
みなさんが無農薬野菜を探しているのに、販売者は特別栽培野菜ですと言って売る。
それって買う側も売る側も損しますよね。
いくら探しても無農薬野菜は見つからないし、いくら宣伝しても特別栽培野菜は売れない。
そんな悲しい事態になってしまいます。
だから農家は違反してでも無農薬だと謳う、ということです。

ただし。
たとえばホームページのなかでしっかりと栽培について説明していて、消費者が納得したうえで買っているならガイドラインの対象にはならないようです。
ガイドラインは、消費者が混乱なく適切に農産物を選択できるようにするのが目的なので、混乱しないように説明責任が果たされていれば問題ないというわけですね。

 

特別栽培農産物が欲しければある程度の勉強は必要

このように。
国ははっきりと農産物を3つに分類しています。
一般的な野菜なのか、有機野菜なのか、特別栽培された野菜なのか。
これ自体は非常にありがたいのですが、特別栽培という言葉が知られていないために分類がしっかり機能していないのが残念です。
そして。
インターネット上では、栽培方法についてサイト内でじゅうぶんな説明ができるため特別栽培ガイドラインの対象になりにくいです。
つまり無農薬とか減農薬と書いていても、その栽培内容についてちゃんとした説明があれば表示違反にならないということ。

消費者として表記で混乱しないためにやるべきことは。
有機野菜とは何なのか、無農薬野菜が何なのかを知っておくこと。
ホームページなどで書かれている情報をある程度理解できるようになること。
だと思います。
が。
それは面倒でしょ!と思われる方もいらっしゃるはず。
そんな人は有機野菜と書かれているところから買えばいいだけです。
有機野菜は有機野菜、こちらは法律で守られているので間違いはありません。

参考になれば幸いです。

 

 

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