有機野菜や無農薬野菜は買わないで自分で育てる
スーパーで購入できる野菜に満足できなくなった人がいます。
たいていの家庭はそこに売っているもので満足するんだけど、なかには物足りなかったり不満があったりして他へ野菜を求める家庭もあるわけです。
他へ野菜を求める理由は人によって違うと思いますが、
農薬の使用に不安がある、もしくは無農薬野菜が欲しい
もっと美味しい野菜が食べたい
採れたて新鮮な状態で欲しい
子供の野菜嫌いをなんとかしたい
アトピーなどアレルギーを治したい
生産者のことをもっと知りたい
珍しい野菜が欲しい
と、スーパーの野菜にはないプラスアルファを求める理由はさまざまです。
こうしたなにかしらの不安や不満を持ったときに、どこで野菜を買ったらいいのか。
という疑問に対して、有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきかというシリーズで書いてきました。
購入者が野菜に対して求めるものは下記の6つ
1.安全性
2.価格
3.鮮度
4.品質 (規格のばらつき、虫食いなど)
5.透明性 (生産者のことがどれだけ分かるか)
6.味 (味を左右する要素「栽培、旬、品種」を満たすか)
購入先によってそれぞれの項目の評価が分かれることを表で示して、くわしく説明しています。
今回は、番外編として家庭菜園で育てるとどういう評価になるのかを表に追加してみました。
ほかのどの経路で無農薬野菜を買うよりも高い評価にしています。
これには色々と理由がありますので順に説明していきたいと思います。
-
安全性
農薬を使ったときに気になる安全性の問題。
これは自分で育てたときにはまったく問題にはなりません。
農薬を使わなければいいだけですから。
もちろん農薬を使わないで素人が家庭菜園で野菜を育てていくというのは、みなさんが想像しているよりも難しいことです。
適正基準をしっかり守って農薬を使ったほうがうまく野菜を育てられる、これは事実です。
ですが、無農薬の野菜が欲しいと思っている人が家庭菜園をやろうとすれば、まず間違いなく農薬を使うことはありませんし、なによりも安全に対する基準というのは自分の心の中にあるものですから、自分で育てるのに勝る安全はありません。
詳しくは有機野菜や無農薬野菜はどこで買うべきか その2 安全性
-
価格
大規模で大量生産すれば価格が安くなる、これは疑いようのない事実です。
そういう点でいえば、家庭菜園のような小さな規模で育てられた野菜は価格が高くなってもおかしくないのかもしれません。
ただし。
家庭菜園をするときにかかってくる経費というのは、農地の賃借料や種代・苗代、支柱や防虫ネットなどの資材代、くわやスコップなどの農具代。
こんなものじゃないでしょうか。
運送料、営業や販売にかかる経費、生産者や小売業者の利益。
こういったものも自分で育てればかかりません。
一般的に大きな規模でやるときに必要なトラクターなど農業用の機械は必要ありませんし、なによりも大きなウエイトを占める労働コストが家庭菜園ではタダです。
いや、家庭菜園でも労働コストは経費として含めるべきだ!と思われる方もいらっしゃるでしょうけど、今回はコストに入れないものとしておきます。
おそらくですが、支出としてもっとも大きいのは農地の賃借料だと思いますし、いろんな種類の野菜を育てようと思ったら種を一番小分けされている小袋で買ったとしても余るくらい入っているのでもったいないかもしれません。
一概に、自分で育てれば買うよりも安くなるとは言えないかもしれませんが、わりと広く面積をとって長く続けていくことができるのであればおそらく買うよりも安くなるのではないでしょうか。
-
鮮度
これはもう、あえて書くまでもなく最高評価です。
収穫したその日に食卓に野菜を並べることができます。
収穫したその場で食べることもできます。
自分で育てた野菜を食べる、こんなに嬉しいことはありません。
-
品質
家庭菜園で野菜を育てるときに問題になってくるのがおそらく品質です。
品質として製品のばらつき、規格、信頼性をみたときにプロの農家が育てるものに比べて劣ってしまうのはしょうがないことです。
大きさを揃えることができる、見栄えがよくなるように手をかけて育てる、これができるのがプロの仕事ですから、素人が家庭菜園で育てたときに曲がったキュウリができたり二股に分かれた人参ができたりするのは当然のことといえます。
でも気になりませんよね、自分で食べるんだから。
-
透明性
鮮度と同様に、あえて書くまでもなく最高評価です。
当たり前ですよね。
自分で育てるんですから。
昨今の食に対する不安・不信感というのは、生産者の顔が見えないこと、流通や小売など消費者の手に届くまでにたくさんの人が関わっていること、などから生まれてくるものです。
タネを播くところから収穫をして食卓に並べるところまで、すべてに関わっている家庭菜園であればガラス張りの市長室などとは比べものにならないくらい透明性は高いです。
-
味
野菜の味を決める要素は、鮮度・旬・栽培・品種の4つ。
収穫してすぐに食卓に並べられて、野菜にとっての旬の時期にムリなく育てていて、野菜が健康に育つためのこだわり栽培をして、病気に強いとか収穫量が多いとかでなく美味しさを重視した品種を選ぶ。
という条件を満たせば、たいへん美味しい野菜が出来あがります。
もちろん素人が育てる野菜ですから、うまく栽培をすることはプロには到底及びませんし、美味しい品種がどれなのかを判断する基準も持ちあわせていません。
知識も技術もなければ、プロが育てる野菜と比べて勝るのは鮮度のみと言えます。
でも。
自分で心をこめて育てたものって美味しいですよ。
うまく栽培できたとか、おいしくなる品種を使ってるとか、そんなことを超えて自分が汗水たらして一生懸命育てた野菜は美味しいです。
味を決める4要素とか関係なく、自分で育てた野菜は美味しい。
それだけでじゅうぶんですよね。
ということで最高評価の家庭菜園。
もし時間に余裕があるなら、市販の野菜で満足できないなら、家庭菜園されることをお勧めします。
でも。
そんな時間はありません。
都会なので市民農園を借りても遠方になってしまいます。
という方はたくさんいらっしゃると思います。
そんなときはベランダでプランター栽培をしてみるのはいかがでしょうか。
どでかいサイズのプランターを買って、大きく育つトマトやナスを植える必要はありません。
小さなプランターで、一度植えたら長く収穫できる、無農薬でも育てやすい野菜を選べば、家庭菜園をやらなくても自分で育てた野菜をいただくことができます。
長く収穫できて無農薬でも育てやすい野菜。
たとえばネギ。
白い茎の長いいわゆる一本ネギではなくて、緑の部分が多くて何本もまとまっている葉ネギがお勧めです。
九条ネギが有名ですが、愛知県だと越津ネギや法性寺ネギがあります。
ネギはタネから育てるよりも、ふつうに売られている根っこつきのネギを買ってきて根から数センチのところでカットしてプランターに植えておきます。
そのカットしたところから新しく芽が出てくるので、ある程度伸びたら収穫して食べる、また伸びてきたら収穫して食べる。
これを繰り返すことで長く楽しめます。
ニラも同じようにカットを繰り返すことで長く楽しめる野菜ですが、こちらは根っこ付きで売られていないので園芸店で苗を買うことになります。
ホウレンソウや春菊やレタスは、あまり虫がつかないのでわりと育てやすいです。
レタスのチマサンチュという品種は焼き肉を巻いて食べることで有名なレタスですが、このレタスは大きく育ててから外の葉を摘み取っていく収穫の仕方が一般的です。
大きくなった葉だけを順次収穫していきます。
摘み取ってから、そのあとまたどんどん生長していくので、また大きくなった葉だけを摘み取る。
これでずいぶんと長く楽しむことができます。
こういう楽しみ方って、チマサンチュに限らず葉野菜であればどんな品目でもできます。
チマサンチュ以外のレタスでも摘み取り収穫できますし、ホウレンソウや春菊も摘み取れます。
ちょっと虫がつきやすいので気をつけないといけませんが、水菜や小松菜なども外の大きな葉だけを摘み取るようにしていくと長く収穫していくことができます。
そうそう、もともと摘み取り収穫をしていく葉野菜、ツルムラサキ・空芯菜・モロヘイヤなどはプランターでも育てやすい野菜です。
プランターでお勧めできる野菜は、小さなプランターで育てやすい葉野菜。
葉野菜は収穫したあとの鮮度が落ちやすいので、収穫してすぐに食卓にのぼってくるプランター栽培が適しています。
そして摘み取り収穫にしてしまえば、ひとつ植えただけで長く楽しめます。
タネを買ってきて一から育てるよりも、園芸店に行くと水菜やホウレンソウも苗で売っていることがありますから、苗を植えたほうが確実に収穫までたどりつくことができます。
ぜひ参考にしてみてください。