農家の性格が野菜の味に影響する?
有機野菜だから美味しい。
無農薬で育てられているから美味しい。
こういった思い込みは、いまだに世間的な常識となっています。
ですが、農業者の間ではこのあたりを間違った意見として冷静にとらえており、消費者と生産者とのあいだで少し考え方にずれがあるように感じます。
べつに有機野菜が美味しくないと言っているわけではありません。
有機栽培をすることで野菜が美味しくなる可能性が高まる、とは言えるかもしれませんが有機栽培じゃなくても美味しい野菜は育てられます。
無農薬だから美味しくなるというよりは、農薬に頼らないで元気に育てられた野菜が結果として美味しいことが多いだけです。
さて。
そのような話は別の記事を読んでいただくとして。
今回は。
野菜の味を決めるいくつかの要素のうち
栽培
について詳しく書いていきます。
栽培を詳しく・・・なんだか難しい話のように思われるかもしれませんが通常とは別の視点からの話になります。
栽培についてプロの立場から専門的に解説するわけではありません。
栽培をしているのは人
人の管理次第で味はどうにでも変わる
という話です。
たとえば。
肥料の加減
こまやかな栽培管理
収穫タイミングの厳守
など
栽培の仕方、収穫の仕方によって収穫できるものが変わってくること、なんとなく分かりますか?
栽培の管理次第で品質や味に違いが出るのは理解できるでしょうか?
おそらく分かりにくいと思いますので、いくつかの例を挙げながら少しずつ紐解いていきます。
農家の性格が野菜の味を左右する
ここに2人の農業者がいるとします。
ものすごく几帳面で丁寧な仕事をするAさん。
おおざっぱで細かいことは気にしないBさん。
そういう対極な性格をもつ2人です。
畑を耕したり、土を盛り上げて畝の立てたり、肥料をぱらぱらと土にまき散らしたり、庭師が生垣をきれいに剪定するように野菜でも枝や葉をきれいに剪定したり、野菜のタネを播いたり苗を植えたり・・・。
すべてにおいてAさんは丁寧な仕事をします。
逆に。
おおざっぱなBさんはざっくりと仕事をします。
同じ仕事内容なんですが、そんな2人によって育てられた野菜は同じ味になると思いますか?
出来た野菜の見た目は変わらないけど、味には違いが出るんです。
Aさんの野菜は、優しい味わい。
Bさんの野菜は、力強くパンチの効いた味わい。
ざっくりと言えばそんな感じです。
もちろん。
両者の栽培について科学的なデータをとれば、なぜ味に違いが出るのか分かります。
でもそうではなくて。
科学よりも以前に、目に見えないなにかが働いていると思うのはなんだかおもしろいですよね。
農家の性格が仕事ぶりに影響して、それが野菜の味につながる。
ということです。
子育ては親の思考が影響する
親が子どもをどんなふうに育てたいのかによって、育ちかたは違ってくるものです。
もちろん遺伝的な要素や、学校や友人といった外部の影響も子どもの育ち方に大きく左右すると思いますが、一緒に過ごす時間が長い家庭での影響はやはり大きいのではないでしょうか。
愛情をたっぷりもらって大きくなった子どもは、他人に愛情を与えられる子になります。
温厚な性格の親に育てられた子どもは温厚に。
気性の激しい性格の親に育てられた子どもは気性が激しく。
子どもに無関心な態度で親が育てれば、子どもは愛情を感じられず非行に走りやすくなります。
暴力的に育てられた子供は、他人を信用できずに内に閉じこもってしまいます。
親の思考が、育てかたが、子どもがどんな成長を見せるのかに強く影響しています。
以前の記事で。
野菜を育てることは子育てに似ているという話を書きました。
親として、子どもが自立してがんばっていることは可能な限り見守っていく。
厳しくしすぎず、甘やかしすぎず、成長していくのを最低限の手をかけて育てていく。
という話です。
野菜を育てるときは、野菜自身が持っている力を信じて、最低限の手助けしかしません。
甘やかすと本当に甘えただらしない成長を見せるからです。
厳しく育てると、本当にたくましく力強い成長を見せてくれます。
農家が野菜をどのように育てたいのかという考えのもとで畑の環境を整えていくので、農家の育て方ひとつで野菜はどんなふうにも育ち方を変えていきます。
野菜にとって親に近い存在である農家。
その農家の考え方、育て方が子どもである野菜の成長に大きく関わってくることは、なんとなく分かっていただけたでしょうか。
農家を知ることは野菜を知ること
というように。
科学的な分析がどうだという話を出すまでもなく、野菜は親のような存在である農家の影響を強く受けます。
その農家は・・・
性格は温厚なのか激しいのか。
細かいことは気にするのか。
完璧主義か。
理想主義者か現実主義者か。
夏休みの宿題は計画的に片付ける派か、最後ギリギリになってから一気に終わらす派か。好きなものは最初に食べる派か、最後まで残しておく派か。
こういった思考は、野菜を育てていくときの管理のしかたに大きく関係します。
もちろん結果として、野菜の品質や味にも大きく関係してきます。
だからこそ。
農家のことは、知れば知るほどいい。
知れば知るほどおもしろいんです。
農家と話す機会があれば探ってみてもいいですし、ブログやfacebookなどでの文章から読み取ることができるかもしれません。
まだほとんどいませんが、動画を配信している農家であれば、その動画から人柄がにじみ出ているはずです。
話し方、声のトーン、落ち着き具合、表情。
どんな性格なのか、その一端が垣間見えるはずです。
どんな人が育てている野菜を食べてみたいのか。
その農家を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考になれば幸いです。