果菜類をいただくことで母の愛を知る
人間には、男と女という性別による分類、日本人とアメリカ人などの国による分類、黒人や白人などという人種による分類、などいくつかの分類があります。
これと同じように、野菜にも彼らを種類ごとに分ける方法がいくつかあります。
そのうちのひとつ「食べる部位による分類」をご紹介します。
そして、食べる部位による違いは野菜の生育ステージにも関係してくる、という話もしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
野菜は、大きくわけると4つに分類することができます。
葉菜類、根菜類、果菜類、豆類です。
今回は果菜類(かさいるい)について解説していきます。
妊娠何週目で収穫?
果菜類のほとんどは夏野菜で、なじみのある見慣れた野菜ばかりです。
トマト、ナス、ピーマン、オクラ、カボチャ、ゴーヤ、キュウリ。
葉菜類では花を咲かせる前の段階で収穫しているのにたいして、果菜類は花を咲かせたあとの果実を収穫することがほとんどです。
そして、果実を食べるということは、タネという子どもを抱えた母体ごと食べるということ、つまり妊娠中の母親をいただくということなんです。
おなかにもうひとつの命をかかえて、生きる気力がみなぎっている妊婦は偉大です。
そんな存在をいただくのですから、体に悪いわけがありません。
美味しくいただきましょう。
そんな妊婦さんですが、野菜の種類によって何週目の子どもを抱えた状態で収穫をするのかが違っています。
たとえばキュウリ。
キュウリは花が咲いてから実がどんどん大きくなっていき、だいたい10日ほどでみなさんが目にするキュウリの大きさになります。
じつはこれをそのまま収穫しないでほおっておくと、さらに大きく太くなっていきます。妊娠期間はだいたい45~50日くらい。
だから、10日目で収穫してしまうというのはけっこう赤ちゃんが小さい状態なんです。
それは食べてみればわかることで、キュウリって食べてもタネって気にならないですよね。
逆に考えると、大きくするとタネが気になるから小さいうちに収穫している、とも言えます。
海外では太くて大きいキュウリがふつうに売られていたりしますが、タネを取り除いて調理しています。
炒めたり煮たりするならタネのある大きめのキュウリを、生食や漬物にするなら日本でなじみの深い小さめの若いキュウリを使う、といった感じでしょうか。
とはいえ、キュウリは全般的には妊娠初期の段階で収穫してしまう野菜だといえます。
一方、トマトはどうでしょうか。
トマトも、花が咲いてから実がどんどん大きくなっていき、妊娠期間が45~50日(中玉トマト)であるという点でキュウリと同じです。
違うのは収穫のタイミング。
キュウリが妊娠初期で収穫してしまうのに対して、トマトは妊娠期間を終えて予定日を迎えた頃に収穫をします。
完熟という状態です。
試しにキュウリのような妊娠初期~中期の段階で収穫して食べてみたことがありますが、苦味が強くて食べられたもんじゃありません。
そして、トマトが美味しく甘くなるピークを迎えるのは実が赤く色づいた頃。
スーパーで並ぶようなトマトは、並んだときに真っ赤になるように逆算して輸送期間を考えて収穫していくので、もぎとるときにはまだ青いということがよくあります。
収穫してからも熟していくというトマトの性質を利用したものですが、味については間違いなく真っ赤に完熟するまで樹につけておいたトマトのほうが断然美味しいです。
トマトはやっぱり完熟じゃないとだめですね。
このように、ひとくちに果菜類といっても実が未熟なうちに収穫するキュウリのような野菜もあれば実を完熟させてから収穫するトマトのような野菜もあります。
キュウリやオクラ、ピーマンやゴーヤはかなり若い段階での収穫。
トマトやカボチャは予定日を迎えてからの収穫。
食べて体によいのはもちろん完熟している野菜ですが、それを気にしてしまうとキュウリを食べないことになってしまいます。
キュウリだって妊娠初期とはいえお腹にもうひとつの命を抱えている強き母です。
おいしく頂いてしまいましょう。