品種について語る前にまず書いておかなければならないのが
そもそも品種ってなに?
という大前提です。
ここを最初におさえておかないと、読んでいても頭のなかに?が飛び交うことになりかねません。

品種について説明するときにもっとも分かりやすいのはジャガイモだろうと思います。
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(画像提供:日本いも類研究会)

男爵、メークイン、キタアカリ
というように皆さんがよく御存じの名前がスーパーでは当たり前のように書かれていますが、これがいわゆる品種というものです。
男爵もメークインも、キタアカリも、どれもジャガイモなんだけれど、見た目や味や性質が異なるために品種という分類がされているんです。
ほかにもサツマイモでは安納芋(あんのういも)や鳴門金時(なるときんとき)、大根でいえば桜島大根や守口大根(もりぐちだいこん)、下仁田ネギ(しもにたねぎ)や金時人参(きんときにんじん)などが品種名で売られていることもあります。

でもほとんどの野菜については、野菜の名前そのもので売られていることが多いですよね。
水菜は水菜、ナスはナス、キュウリはキュウリ、レタスはレタスとして店頭に書かれているだけで、それがじつは千両二号(せんりょうにごう)という品種のナス、夏すずみという品種のキュウリだということは誰も知らないわけです。

野菜の品種というのは、日本に限らず世界を見渡せば何千種類、何万種類という品種数が存在します。
トマトだけみても世界には8000種類を超えるような品種があるとされていて、日本でも品種登録されているものだけで200種類ほどあると言われています。
そんなにあるのに普通に生活していたら触れることがない世界です。
知る必要がないから触れないのか、それとも触れられるとなにか困ることがあるのか。
そのあたりの裏詮索はおいておくとして、いち農家としては品種がもつおもしろさや奥深さをもっと世の中に広めていきたいなあと思っています。